ホンダモビリティランド株式会社様
混雑状況を園内マップにリアルタイム反映!
利便性向上と園内周遊を促進 1962年に日本初となる本格的なレーシングコースとして誕生し、世界最高峰の自動車レース「F1日本グランプリ」を開催する鈴鹿サーキット。翌年には、小さな子供でも自分で操縦できる“のりもの”を中心としたアトラクションが揃う遊園地「鈴鹿サーキットパーク」も併設され、60年に渡る歴史を重ねてきました。
2022年に迎えた開場60周年記念プロジェクトの1つの取り組みとして、「鈴鹿サーキットパーク」にメタマップが導入され、各アトラクションやレストランの混雑状況をリアルタイムで確認できるようにされました。今回のメタマップ導入の背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。
ホンダモビリティランド株式会社 鈴鹿サーキット 事業推進部 西山様
メタマップの導⼊に⾄った背景
- メタマップの導入背景について、教えていただけますか?
2022年の開場60周年記念プロジェクトでは「ROAD to NEW FUTURE」というテーマをもとに、「60年間の歴史と伝統を振り返りながら未来に向けた歩みを加速させる1年」を目指していました。鈴鹿サーキットでは「モビリティを通した体験価値の提供」を大切にし、F1日本グランプリ等を開催するモータースポーツ事業や、アトラクションが楽しめるアミューズメントパーク事業を中心に展開しています。
WEBサイト上に最大待ち時間をテキスト掲載
(画像提供:ホンダモビリリティランド株式会社)
アミューズメントパーク事業の課題の1つに、「パーク内での周遊のしづらさ」があります。開場60周年を機にこの課題を解決し、お客様の利便性向上とパーク内周遊促進に着手することに決めました。
鈴鹿サーキットパークのアトラクションは、“操る喜び”を体験していただくために自社開発によるアトラクションが多く、お子様の年齢によって楽しめる機種が細かく異なります。このため、待ち時間に加えて、我が子がどのアトラクションを利用できるかも分かリやすくする必要がありました。
これまで、待ち時間に関してはパークのWEBサイト上で、アトラクション名とともに掲載をしていました。
しかし、テキストのみの表記は空いているアトラクションの場所がわからず、お客様自身でマップと照らし合わせる必要があります。さらにアトラクションの利用制限が一目で分からず、別途ガイドと見比べる必要がありました。
今空いていて、利用制限に合致するアトラクションがどこにあるのかを、来園中に分かりやすく伝えるためには、デジタルマップが実現可能なソリューションだと感じました。
- なぜ、メタマップをお選び頂けたのでしょうか?
鈴鹿サーキットパークでは、マップを紙で配布する他、WEBサイト上に同様のマップを掲載していました。
紙は家族で情報をシェアしやすく気分を高揚させることができますが、一方で情報量が多く、この中から瞬時に情報を見つけだすタビナカのツールとしてはネガティブな要素もあります。
マップに番号を振り、別枠でアトラクション内容を説明する紙のマップ
(画像提供: ホンダモビリリティランド株式会社)
WEBやアプリにはPDFのマップを掲載
(画像提供: ホンダモビリリティランド株式会社)
そこで誰でも手軽に素早く情報を取得できるよう、WEBブラウザ上のサービスであり、施設の混雑状況がリアルタイムで表示でき、待ち時間とアトラクションがマップ上でリンクすることでシームレスにアトラクションの詳細情報が見られることが理想の状態だと考えました。
理想のマップを構築するプラットフォームとして、メタマップは重要視していたWEBブラウザ上のサービスであること、混雑表示を要望に応じてカスタマイズできることの2点をクリアしていました。またデモを見た際に、シンプルかつ誰が見ても分かりやすい表示画面に、操作が直感的でUXが良いと感じ、導入を決定しました。
- 今回のマップに関する施策はどのようなものだったのでしょうか?
グラフィックスマップの登録、混雑状況のリアルタイム表示のほか、スポット詳細情報には利用制限を記載しました。
また、お客様からよく質問される授乳室やこどもトイレ等の施設をマップ上にグラフィックス表示し、分かりやすくしました。
完成した鈴鹿サーキット「デジタルマップ」PC版
スクレイピングで待ち時間を自動取込み
アトラクションの待ち時間をデジタルマップへリアルタイムで反映する方法は、手間がかからず開発費を抑える方法を検討し、メタマップ側でのスクレイピングプログラム(特定のWEBサイトから情報を自動で取り込むプログラム)を利用することになりました。
各アトラクションの待ち時間をWEBサイトで一覧表示しているページから情報をそのまま抜き取りデジタルマップに反映させることで、スタッフの手間は従来のままデジタルマップにリアルタイムで待ち時間を表示できるようになりました。
またピクトグラムとハッシュタグも活用して、各スポットの特徴が一目で分かるように工夫しました。ハッシュタグは、たとえば「#0歳」「#屋根つき」などを設定し、0歳が乗れる乗り物や雨でも楽しめるアトラクションが一目で分かるようにしました。
登録したグラフィックスマップの上に重ねて、スポットごとにグラフィックスマーカー(アイコン)を登録できるため、アトラクションのアイコンや、授乳室、喫煙室、こどもトイレ、券売所、救護所など、よくスタッフが質問される場所を可視化しました。
また、メタマップはカテゴリー毎に切替表示ができるため、鈴鹿サーキットパークでは「アトラクション」「レストラン」「ショップ」「すべて」の4つに分けています。中でもパーク内のレストランにおいては、ランチ時間帯に混雑し待ち時間が発生する問題がありましたので、混雑状況を可視化することで、今空いている店舗が確認できるようになっています。
導入後に生まれた効果
- メタマップ導⼊後、どのような効果が出ていますか?
まず待ち時間に関しては、特に初来場の方にとって、アトラクションの場所と待ち時間を俯瞰して一目で確認できるため、既存の一覧表よりも格段に利便性が向上したと思います。
また、パーク内で期間限定イベントを開催する際には、当日来場された方向けにデジタルマップを通じて案内できる点も良かったです。マップ上に開催中・開催予定のイベントを表示しリマインドできることで、参加率が増加したと思います。
パーク内でのストレスを軽減し、より良い周遊プランを考えやすいことで、お客様の利便性は向上したと思います。紙のマップを広げる方が減ったと言うスタッフもいます。
データ分析に関しては、利用年齢層、スポット分析、検索キーワードランキング等を見ています。まだデータを活用したPDCAには至りませんが、これから積極的に活用していきたいと思っています。
マップ上で検索されているキーワードランキング
また、メタマップは7カ国の翻訳に対応しているため、Afterコロナにおいてはインバウンド対応への効果も期待しています。
デジタルマップ導入後に行ったお客様アンケートでは、デジタルマップの満足度は90%以上になりました。
メタマップの活⽤で今後⽬指していきたいこと
- 今後取り組んでいきたいと考えていることはございますか?
メタマップを活用してパーク内でできそうなこととしては、待ち時間の自動カウントとモバイルオーダーでしょうか。
現在アトラクションの待ち時間入力は現地スタッフの手作業になっているため、カメラやセンサー等を設置し、待ち時間を正確に自動計測してマップに反映できると、オペレーションコストの大幅な削減につながると思っています。
また、レストランのモバイルオーダーについては、レストラン詳細ページから各店舗のメニューが注文できると利便性のさらなる向上に繋がると思います。
メタマップはこのようなパーク内のDXをマップ上でつなぐハブにもなるツールだと感じています。今後も体験価値向上の起点となるような活用で、施設のDX化、発展につなげていきたいと思います。
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