株式会社メリーデイズ様

園内マップもスタンプラリーもデジタル化!
施設のDX推進と回遊促進に向けた取り組み


採掘跡地に庭を作りたいとの想いから始まり、その後多くの人に自然の癒しを感じ心豊かに過ごしていただくために2011年にオープンした、English Gardenローザンベリー多和田。 通年利用されている園内デジタルマップの作成と、周年イベントでのデジタルスタンプラリー利用について、今回はメタマップを導入された背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。

株式会社メリーデイズ 企画開発 田中様
株式会社メリーデイズ「ローザンベリー多和田」 企画開発 田中様

メタマップの導⼊に⾄った背景

- メタマップの導入背景について、教えていただけますか?

当園はイングリッシュガーデンをメインに、飲食店、BBQ、畑等を広大な敷地内に保有する複合型の観光施設です。メタマップは2021年の開業10周年に際し、園内マップのデジタルマップ化事業で導入しました。またデジタルマップ作成後、直近ではスタンプラリーも追加し、デジタルスタンプラリーイベントでも利用しています。

まずデジタルマップの導入を検討したきっかけは、「ローザンイルミ2020ひかり奏でる丘」というイルミネーションイベントで、夜の暗い中では紙のパンフレットが見られないお客様が多く、お困りだったことにありました。特に雨の日は傘をさし、スマートフォンのライトで照らししながらマップを見る方もいらっしゃり、安全面の強化のためにも紙ではなく手元のスマホ自体でマップを見て頂きたいとデジタル化を検討し始めました。

夜間は紙のマップが見づらいことが課題に。手元のスマホで見えるデジタルマップ化を推進
夜間は紙のマップが見づらいことが課題に。手元のスマホで見えるデジタルマップ化を推進

当園は広い敷地内に施設が点在しているため、園内の情報をきちんと伝えることでお客様満足度を上げたいとの考えもありました。それまで園内マップの情報はイラストマップをWEBサイト上とパンフレットに掲載していましたが、数年に一度イラストレーターに方に頼む程度だったため古い情報もあり、情報更新頻度の向上をさせたいと思っていました。イラストマップではマップに番号を振り、その番号が何の施設かをマップの下で別に説明するような形で掲載しており、正確にどこに何があるかも一目で分からないという課題もありました。

イラストマップは頻繁に更新できず、古い情報がそのままに
イラストマップは頻繁に更新できず、古い情報がそのままに

また、これは以前より課題に感じていたことですが、社内全体でペーパーレス化が進んでおらず、2021年より会社としてデジタル化推進を決めました。広報面ではパンフレットの管理・発注が年間数万部あり、印刷コストも高くついていました。当園のお客様は年輩層で紙を好まれる方も多いため、全てをデジタルに置き換えることはできませんが、当園公式HPのユーザーアクセスが最も多い30〜40代までの方にはデジタルの方が使い勝手が良いと考え、パンフレットの印刷コストを半分にする目標を立てました。デジタル化による導入の経費は当初ありましたが、メタマップに関してはIT導入補助金の利用でコストカットが可能でした。

このように様々な理由でデジタルマップの導入検討をしていたところ、別に10周年事業の際に社内で公募した企画で、デジタルスタンプラリーイベントを開催したいとの声がありました。

デジタルスタンプラリーシステム事業者何社かに問い合わせてみたところ、1ヶ月半で約60万円、カスタマイズも含めると約100万円の見積になりました。収支計算をしたところ、利用ユーザー数の想定数を考えると、元がとれないという判断になりましたが、ネックになったのはコストのみだったため、これを解決するシステムが他にないかも探し始めました。

園内のデジタルマップ化とともに、デジタルスタンプラリーシステムの比較検討も開始
園内のデジタルマップ化とともに、デジタルスタンプラリーシステムの比較検討も開始

- なぜ、メタマップをお選び頂けたのでしょうか?

園内のデジタルマップ化とスタンプラリーシステムの利用のどちらも可能で、その導入・運用費用が抑えられたことです。

デジタルスタンプラリーシステムを利用する際には導入・運用コストを抑える必要があることがわかりましたが、メタマップであれば、園内デジタルマップを作成した上でスタンプラリーの追加も可能であるため、初期費用を抑えつつ、スタンプラリーイベントの際にのみスタンプラリーオプションのオンデマンド利用により、効果的な運用が可能だと思い、導入を決めました。

また管理画面が分かりやすく、オリジナリティを表現しやすいことでユーザー画面も楽しく演出できそうだと感じたことも重要な点でした。

- 今回のマップに関する施策はどのようなものだったのでしょうか?

グラフィックマップの登録、園内各施設のスポット情報登録、スタンプラリーイベント開催時にスタンプラリーのオプションの追加をしました。

グラフィックマップ、スタンプラリー等様々活用
グラフィックマップ、スタンプラリー等様々活用
© SHAUN THE SHEEP AND SHAUN'S IMAGE ARE TM AARDMAN ANIMATIONS LTD. 2022
グラフィックマーカーとスポット詳細編集を活用
グラフィックマーカーとスポット詳細編集を活用

まずグラフィックマップは従来利用していたイラストマップを活用し、イラストレーターに基盤のマップに合うよう縮尺依頼をして新規作成しました。一から書き起こすわけではなかったため、予算も時間も短縮できました。
またカスタムグラフィックマーカーで、駐車場、AED、正門など必要なアイコンを設定しました。園内では観光施設以外にも必要な施設がどこにあるかマップ上で一目でわかることが重要だと思っていたためです。カスタムグラフィックマーカーは自由に登録できるため、今後登録数を増やして、よりグラフィカルに見た目の楽しさも追求していきたいと思っています。

スポット情報の登録に関しては、詳細項目を編集しました。お客様からご質問が多い項目をあらかじめ入れておいた方が親切だと考えた項目、また各現場からも要望が多かった項目についてです。たとえば、決済方法にはクレカ、電子マネー等、さらに感染症対策やメニュー等も入れるなどして分かりやすく表示しました。自由にアレンジできたため、スポットごとで変更しながら必要十分な情報を伝えられたと思います。

カスタムページ活用でイベントも告知 カスタムページ活用でイベントも告知

また、カスタムページを活用し、フォトコンテスト開催時には告知もしました。イベント告知バナーをマップ上に表示できるため、今後もイベント告知は有効に使っていきたいと思っています。
最後にスタンプラリーについてですが、開園10周年イベントのメインイベントとして、2022年3月25日 - 5月15日の約2ヶ月間行いました。
スタンプラリー開催にあたっては、3つの目的・目標がありました。収益性確保のために有料イベントとすること、集客数増加、そして回遊促進です。

スタンプラリーには2019年からコラボレーションしている海外の人気キャラクター「ひつじのショーン」を起用しました。 当園のお客様は女性の年配層が多いですが、2019年からこの人気キャラクターとの提携により、大学生から20代のお客様層が増え、従来の3倍のお客様に来園頂くようになっていました。 企画内容は隠されたQRコードを探して「ひつじのショーン」にちなんだクイズに答えるとスタンプが獲得できるようにし、コンプリートするとオリジナルグッズがもらえるようにしました。

隠されたQRコードを読むと出るクイズに答えてスタンプ獲得。楽しみながら周遊促進
隠されたQRコードを読むと出るクイズに答えてスタンプ獲得。楽しみながら周遊促進
© SHAUN THE SHEEP AND SHAUN'S IMAGE ARE TM AARDMAN ANIMATIONS LTD. 2022

デジタルスタンプラリーの構築にあたって、担当の管理画面の操作は全く問題ありませんでしたが、当園の運営は少人数で担当しており、またデジタル化推進を始めたばかりで、多くのスタッフはまだ従来の紙の管理に慣れており、社内で共同作業する際は少し説明が必要でした。ですが、導入段階で検討した複数の他社のシステム画面に比べると、管理画面は直感的でわかりやすく、デジタル環境に慣れていくためのステップとしても、メタマップを選んだことで、ハードルが下がる効果もあったと感じています。

導入後に生まれた効果

- メタマップ導⼊後、どのような効果が出ていますか?

当初から予定していた通り、若年層、30〜40代のお客様層にとっては大変分かりやすく便利になりました。50代〜のお客様層は従来通り紙を利用頂いています。
またマップの運営に関しては、リアルタイムの情報管理が可能になったことにより、日頃の管理業務は発生していますが、常に新しい情報を発信可能になり、どの施設でどのようなイベントをしているか、細かく発信できるようになりました。

スタンプラリーは特に若年層〜ファミリー世代の方に人気で楽しんで頂けたお客様が多く、効果的に周遊促進ができました。一方、特にご年配のお客様を中心に紙の台紙のスタンプラリーをしたいという方もいらっしゃいました。デジタルコンテンツのイベントをする際、お客様の「いわゆるデジタル慣れレベル」に効果が左右されてしまう場合もあるように思います。対象となるお客様に合わせ、今後はデジタルと紙のそれぞれの利点を考えた使い分けも検討したいと思っています。
今回のデジタルスタンプラリーの実施方法と結果ですが、当園は南北に敷地が広がっているため、スタンプスポットを南北に分けて配置したところ、どちらのエリアも回っていただけ、回遊率は50%と大変高い結果になりました。

スタンプラリーでは回遊率50%を達成
スタンプラリーでは回遊率50%を達成

データ分析に関しても様々活用しています。ダッシュボードを見て、属性分析をしたり、スポットの人気ランキングを見たりしています。特にSL機関車ミルキーウェイのスポットPVが多く、モビリティトラッキングの導入によって興味を持っていただける方がこれによって増えたことがわかります。夜間にミルキーウェイのイルミネーションを開始したり、来園者の総数も伸びているため、正確な効果は把握できないのですが、現在は1ヶ月の集客の1/3程度がミルキーウェイに乗車頂くまでになり、マップからの効果が十分あったと想定されます。
また全体のデジタルマップの閲覧数を見ると、来園者数より多く、来園前の段階で閲覧している層が1/3程度あり、タビマエの情報収集や旅行計画に使っていただけていると想定しています。事前にマップ上で情報をたっぷり伝えられることで、園内を巡るイメージができ、実際の来園時の満足度向上につながると思うので、その点も非常に良かったです。

来場者数よりマップPVが多い結果に。タビマエの情報収集や旅行計画に利用と想定
来場者数よりマップPVが多い結果に。タビマエの情報収集や旅行計画に利用と想定

導入時から他社比較を様々しましたが、コスト面、運用面、実際の効果からメタマップ導入で良かったと思える結果になりました。

メタマップの活⽤で今後⽬指していきたいこと

- 今後取り組んでいきたいと考えていることはございますか?

まずはカスタムグラフィックマーカーの活用範囲を広げ、観光施設としての面白さをマップ上でより表現していきたいと思っています。たとえば畑のエリアに、さつまいも、さといも、ピーナッツなどその季節に収穫体験できる作物を載せて季節ごとに変えていくことで、その季節だけのマップを作り、視覚的に面白くリアルタイムで伝えることも可能だと思っています。

当園はリピーターも多く、3ヶ月に1回程度いらっしゃる方にとっては、マップがどんどん変わっていくことで来園の度に季節感を感じたり、新鮮な気持ちを感じて頂ける新たなツールになるのではと思っています。さらに各スポット情報には今後動画も追加して、その場に行く前により臨場感ある情報を伝えられたらとも考えています。

また重要な目標として園内の滞在時間をさらに伸ばしたく、2つの施策を考えています。1つ目はたとえばカップルコース、ファミリーコース等マップ上にコースを表示し、園内における施設の楽しみ方や各距離感をより分かりやすくして、来園前にあらかじめコースのイメージをつけていただけたらと思っています。

2つ目は現在スタッフによる対面案内で開催しているガーデンをめぐる園内ツアーのオーディオガイドによるデジタル化です。少人数のスタッフのため現在は開催回数に限界がありますが、メタマップのスポット情報に紐付けてオーディオ配信すると、周遊案内と同時にツアーができるため、滞在時間も伸び、楽しんで頂ける方が大幅に増えるのはと考えています。

社内のDX推進の一環として、お客様の満足度向上・周遊促進・滞在時間向上のため、今後も様々なデジタル表現を検討していきたいと思っています。


関連情報

ローザンベリー多和田

https://www.rb-tawada.com/

ローザンベリー多和田「ひつじのショーン デジタルスタンプラリー」

https://www.rb-tawada.com/news/2022/238/