株式会社東急百貨店 様
デジタルマップで店舗を繋ぐ!お客様の利便性向上と回遊促進を目指す東急百貨店
東急グループのリテール事業の中核を担う東急百貨店。渋谷駅周辺の再開発に伴い、複数の建物に分散した店舗を持つ同社では、お客様の利便性向上と回遊促進のため、場所の分かりづらさや迷いやすさの改善が課題となっていました。この課題解決のため、デジタルマップ「プラチナモール」を導入。その効果と今後の展望について、東急百貨店の担当者様にお話を伺いました。
複数の建物に分散した店舗展開ならではの課題
- デジタルマップ導入前はどのような課題がありましたか?
東急百貨店は、渋谷において「渋谷 東急フードショー」(渋谷マークシティ/しぶちか内)と「東急フードショーエッジ」(渋谷スクランブルスクエア内)、「東横のれん街」(渋谷ヒカリエ内)、および「THE WINE by TOKYU DEPARTMENT STORE」(渋谷区松濤)の4拠点のフード部門を展開しています。渋谷駅周辺の再開発の進捗に伴い、複数の建物やフロアにテナントとして入居し、分散した店舗展開をしていることで、以下のような課題が発生しました。
・店舗が渋谷に点在しており、行きたいショップの位置が分からない【お客様側】
・店舗の分散により、認知度低下・回遊機会損失【商業施設側】
・建物を跨ぐ場合もあり、スタッフによる他の店舗への経路案内が困難【商業施設側】
渋谷において東急百貨店 東横店と東急百貨店 本店の営業終了後、「東急百貨店のフード売場は渋谷から無くなったのか」「行きたいお店の場所がわからない」といった問い合わせが多数寄せられました。また、お惣菜売場をご利用のお客様が、別フロアにあるスイーツ売場の存在に気づかず、「スイーツ売場が無くなった」と誤解されるケースも発生しており、売場内回遊の機会損失につながっていました。
加えて、デジタルマップ導入以前は、店舗が複数の建物やフロアに分散して展開していることの周知が難しく、お客様の回遊を促進するための施策も不足していました。特に東急百貨店 東横店の地下1階に位置していた食料品フロア「東急フードショー」は、フード専門店「渋谷 東急フードショー」として生まれ変わったことにより、集客面での課題が生じていました。
さらに、スリム化した運営体制の中で、従業員によるお客様対応が十分に行き届いていないことも課題でした。渋谷駅周辺の再開発の進捗に伴い、周辺環境が頻繁に変わるため、お客様への経路案内が難しい場合もありました。
- デジタルマップ導入の目的は何ですか?
デジタルマップ導入の主な目的は、お客様の利便性向上と回遊促進です。分散している店舗展開と周辺環境の複雑化に伴う課題解決に加え、お買い物中にお客様ご自身のスマートフォンから操作できるデジタルマップ上で分かりやすく情報を提供することで、迷いやすさや分かりづらさの解消も図りました。その上で回遊行動を促進し、購買機会の拡大を目指しました。また、渋谷に点在する4拠点の店舗をデジタルマップで繋ぐことで、国内外のお客様に対し、東急百貨店のフード部門の認知度向上を図る狙いもありました。
また、従来は建物内に設置されたフロアマップにQRコードを付与し、多言語版のマップへアクセスできる仕組みを導入していました。しかし、更なるインバウンド需要の増加に対応するため、デジタルマップを活用した多言語対応の強化を図りました。
2024年8月に、渋谷 東急フードショーでデジタルマップを導入しテスト運用した後、東急百貨店が渋谷に展開するフード部門全体を網羅したデジタルマップ「渋谷マップ」を作成しました。渋谷マップは東急百貨店のWEBサイトに埋め込まれており、デジタルマップの横におすすめ商品も一緒に掲載することで、お客様が興味を持った商品のショップ情報をすぐに確認できる仕組みになっています。このように、デジタルマップを活用して4拠点を繋げることで、東急百貨店のフード部門全体の認知度向上を目指しました。
- 「プラチナモール」を選んだ理由を教えてください
2024年夏に開催されたビジネスカンファレンス『Rakuten Optimism 2024』でイベント会場マップとして利用されていたデジタルマップがきっかけで、ボールドライト社と「プラチナモール」を知りました。いくつかのデジタルマップサービスを比較検討した結果、「プラチナモール」が弊社の課題解決に最も適していると感じ、導入を決めました。
また、4拠点の店舗は各建物の特徴によって客層が異なり、多様化しています。それに伴い、それぞれの店舗の特性に合わせたきめ細やかな売場づくりと、多様なニーズに対応できるツールの選定が課題となっていました。その点で、プラチナモールは汎用性が高く、この課題を解決できるツールだと感じました。
デジタルマップの更新作業のために管理画面を日常的に操作していますが、非常に使いやすく、スムーズに操作できています。特に、専門知識やコードの記述が不要で直感的に操作できる点は、担当者全員から好評です。
クリスマスシーズンも、デジタルマップで顧客の快適な買い物体験と周遊購買促進を実現
- プラチナモール導入後はどのような効果を感じましたか?
デジタルマップ導入後は、店舗の認知度向上と回遊促進効果により、集客の向上に繋がったと感じています。特にクリスマス会期においては、渋谷マップのページビュー数が前月比217%増と大幅に増加しました。これは、クリスマス会期におけるランディングページとして渋谷マップを効果的に活用できた結果と考えています。
お客様がご自身のスマートフォンで操作できる利便性や、ルート検索機能による最適なルート案内といったデジタルマップならではのメリットにより、多くのお客様に活用いただいけているのだと考えます。
渋谷駅周辺の環境は複雑化し続けていますが、デジタルマップによりお客様が必要な情報を自ら取得できる環境を構築できたことは、お客様の快適度向上と従業員の案内業務の負担軽減に繋がっていると感じています。

売場内のルート検索が可能なため、ショップ間の移動もスムーズに。
バリアフリールートも選択できる。
また、デジタルマップ導入により、新たなプロモーションの可能性が広がったことも大きな効果です。導入後初のクリスマス商戦では、4拠点のフード部門を集約した渋谷マップをクリスマス特別仕様に更新。昨年までは店舗ごとにプロモーションしていましたが、デジタルマップの導入により、渋谷 東急フードショーと東急フードショーエッジ、東横のれん街(渋谷ヒカリエ ShinQs)3拠点合同でのプロモーションが可能になり、売上も好調でした。
具体的な施策としては、建物内のフロアマップやサイネージに、クリスマス商品と一緒に渋谷マップへ遷移するQRコードを掲載し、商品に興味を持ったお客様がデジタルマップへ直接アクセスできる仕組みを構築しました。ショップの詳細情報やルート検索などの機能をすぐに利用できるため、お客様のショップ移動をスムーズにし、購買促進に繋げることができました。
また、デジタルマップ下部に表示されるカテゴリに「クリスマス」を期間限定で設定し、クリスマスケーキやプレゼントを扱うショップを特集しました。カテゴリのカラーは設定画面で自由に変更できるため、クリスマスらしいカラーで目を引くように設定できたのも良かったです。これにより、デジタルマップ上でクリスマス需要に対応でき、お客様が求めている商品の販売場所を一目で把握できるようになったため、クリスマスシーズンおよび繁忙期におけるデジタルマップの利用促進にも繋がりました。これらの施策はデジタルマップがあったからこそ実現し、クリスマス商品全体の認知度向上に大きく貢献しました。

左:建物内のフロアマップに掲載した、デジタルマップに遷移するQRコード付きのポスター
右:期間限定のカテゴリも簡単に追加でき、各ショップ情報と紐付けが可能
デジタルスタンプラリーも開催!
東急百貨店の機能活用方法とは- デジタルマップ制作以降、活用した機能を教えてください。
東急百貨店のデジタルマップは、WEBサイトへの埋め込み、建物内のフロアマップやサイネージ、チラシなど、多様な方法で訴求しています。まず、東急百貨店WEBサイトのトップページや各売場のWEBサイトに遷移用のリンクを設置しました。さらに、渋谷 東急フードショーの紙マップやサイネージには、デジタルマップへ誘導するQRコードを掲載しています。紙マップではルート検索ができないため、渋谷に不慣れなお客様にも詳細な情報をご提供できるよう、紙マップの中央にQRコードを大きく配置し、「詳しい情報はこちら」と添えてデジタルマップへ誘導しています。お客様にはデジタルマップ上でのルート検索機能をご活用いただき、館内を快適に回遊していただくことで、スムーズな買い物体験を提供することを目指しています。

紙マップにはデジタルマップに遷移するQRコードを配置
- スタンプラリー機能はどのように活用しましたか?
渋谷の複数の建物とフロアにテナントとして入居する東急百貨店のフード部門は、4拠点で合計約9,860㎡の面積に、約240店のショップを展開しています。出店しているショップの充実度をより多くのお客様に認知していただくため、渋谷を迷宮に見立てたイベント「シブヤフードダンジョン」の中で、デジタルスタンプラリーを開催しました。渋谷 東急フードショー、東急フードショーエッジ、東横のれん街の3拠点を巡ると、割引クーポンが発行される企画です。
デジタルならではの、スタンプラリーで集めたスタンプと特典を交換する方法のバリエーションが豊富である点が魅力でした。
今回のデジタルスタンプラリーでは、参加者の皆様からアンケートを通じて多くの貴重なご意見をいただきました。これらの声は、ダッシュボードで効率的に分析することができました。分析の結果、店舗が複数箇所に分散していることが、お客様の回遊率低下につながっているという課題を改めて認識しました。いただいた率直なご意見は、今後のデジタルスタンプラリーの企画だけでなく、東急百貨店全体のマーケティング戦略にも積極的に活用していく予定です。
サービスの活用で目指す今後の東急百貨店のさらなる進化
- プラチナモールのダッシュボードは今後どのように活用していきますか?
ダッシュボードの分析結果を、今後のマーケティングにさらに活用していきたいと考えています。
検索キーワードランキングを見ると、2025年1月はハッシュタグ「デリバリー対応店舗」のPV数が多く、デリバリー需要の高さがうかがえます。このハッシュタグは2024年11月に設定したもので、運用開始から3ヶ月で多くの方にクリックされていることから、今後はデリバリー対応ショップを増加することで、さらなる利用に繋がると推測できます。
また、オープンしてまもないショップが検索ランキングの上位に位置していることも分かりました。これは、お客様が新しいショップの場所を探している、あるいは店頭で迷っていると推測できます。あらためて、新ショップの場所情報はWEBサイトや店頭などで積極的に発信することが大切だと気づきました。
こういったデータ分析を通じて、各課題を解決する改善策を検討していきたいと考えています。

ダッシュボードの検索キーワードランキングで、お客様の興味関心を推測できる
- デジタルマップ活用の今後の展望を教えてください
2024年12月から2025年1月は、導入後最も多くのお客様にデジタルマップをご利用いただきました。クリスマスやお正月など、来店者数の増加時期と連動してデジタルマップの利用者数も増加したことは、お客様のニーズに合ったサービスを提供できているという意味だと考えています。デジタルマップ作成時は、度重なる仕様変更にもかかわらず、担当営業さんには丁寧かつ迅速に対応いただき、最終的に理想通りのマップを構築できました。
しかし、ショップの更新や周辺環境の変化に合わせ、随時デジタルマップをブラッシュアップしていくことも大切だと考えます。そのためには、より多くの方にデジタルマップをご利用いただくことが不可欠です。今後も引き続き、各建物との連携強化や、効果的な告知方法の模索により、デジタルマップの認知度の向上を図ります。
また、東急百貨店は渋谷におけるフード部門とビューティー部門の取り組み強化を重点戦略のひとつとしています。その一環として、フード部門のみで展開しているデジタルマップを、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエ、SHIBUYA109渋谷店の3つの建物で展開しているビューティー部門への拡大展開も検討しています。
今後も、快適で楽しい買い物体験の提供を目指し、ボールドライト社のサービスを活用していきたいと考えています。
プラチナモール担当営業 コメント
東急百貨店様の、渋谷の4つのフード部門を繋ぐ構想の実現にご協力させていただきました。離れた店舗を分かりやすいUIで表現するには様々な課題がありましたが、東急百貨店様からの貴重なご意見を参考に議論を重ねた結果、新たなデジタルマップの形を実現できたと感じております。常に変化し続ける渋谷に対応するため、情報更新を迅速に行える弊社の機能を通じて、今後もサポートさせていただきます。また、データ分析やスタンプラリーなどの機能も活用し、お客様の利便性向上、ひいては東急百貨店様の売上増加に貢献できるよう努めてまいります。株式会社東急百貨店様 概要

「街づくり」を事業の根幹に置く東急グループの中でリテール事業の中核を担い、渋谷ヒカリエ ShinQsや渋谷 東急フードショーなど渋谷を拠点とし、東急線沿線を中心に百貨店、ショッピングセンター、専門店(フード、ビューティー)を展開しています。
2024年11月に創業90周年を迎え、「いつでも、どこでも。一人ひとりの上質な暮らしのパートナー。」という事業ビジョンを掲げ、今後も新たな顧客価値創造に向け、百貨店事業で培ってきた目利き力・編集力・販売力といった強みを生かして、フードやビューティー、EC、外商の取り組みを推進するとともに、地域の生活者のより豊かな暮らしづくりに貢献してまいります。
www.tokyu-dept.co.jp
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